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彼が彼女を殺すまで
First Story

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第六章 運命はしかと訪れる(6)

 暗い、静かな闇の中。
 一人微笑む魔女がそこにはいた。
「殺したがりの少年が殺しを拒み、死にたがりの少女が死ぬのを拒む。それでも運命は彼らを逃がさない。喜劇と悲劇が入り混じる悲しい物語。くすくす、こんなおいしい話は久しぶりだなぁ」
 弥生が一人微笑んでいると、背後にいた男はつまらなさそうにため息を吐いた。
「なぁ、あんたはこうなるって分かってたんだろぉ? あんたも大概罪な女だよねぇ」
「人の運命を邪魔する方が罪になるんだよ? それに人間は不幸な物語を読んで満足を得る生物だから。私だって一応あの子にヒントを与えたのにね。死にたがりのときに死ねればこんな苦痛も味わわなかっただろうに」
 銃をいじり回していた椎名は、椅子から立ち上がると気持ちよさそうに体を伸ばす。
「んー、まぁあの女も一概には不幸だったとも言えねぇんじゃねぇの? たとえ死ぬにしたってそれなりに幸せを得られたんならさぁ、それ以上の贅沢は求めちゃいけないだろ」
 椎名はこきこきと首を鳴らし、洞穴から出て行こうとする。
「どこ行くの?」
 弥生の洞穴は椎名の仕事場でもある。椎名がここから離れるときは大抵仕事のときだ。
 佐倉鏡也や貴崎たちとの抗争で随分と大儲けしたらしいのに、また新しい仕事に赴くのだろうか。
「アフターサービスってやつっすよ。後腐れがない方が物語は映えるもんだろ?」



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